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広島市、下深川駅バリアフリー設計補助金を予算計上

先にバリアフリー化基本計画が定められた芸備線の安芸矢口・下深川の両駅。
広島市の2017年度予算で、下深川駅のバリアフリー化設計に係るJR西日本への補助金が予算化されていることが分かりました。。

2017/4/18 広島市、安芸矢口・下深川駅バリアフリー基本構想を策定

バリアフリー基本構想策定の最終段階で行われた、市民からの意見募集の中で
「29年度予算として下深川駅関係の予算のみ計上されているのは如何なものか」という趣旨のものがありましたので、この内容について安芸矢口企画から広島市都市交通部に4月下旬に確認を行いました。

市によりますと、駅構内のバリアフリー化はJR西日本が主体となって実施し、国と自治体が連携して補助を付けることになっています。現在の状況としては、JR西日本から2017年度分として、下深川駅の設計費について補助申し入れがあり、市がこれを予算化しているということです。

安芸矢口駅については、市も「JR安芸矢口駅については、ホーム幅が狭いなどの様々な課題があり、現在、交通事業者において、施工方法等の検討を進めているところです。」としており、技術的問題から、下深川駅よりも時間がかかるようです。

2017/4/18 広島市、安芸矢口・下深川駅バリアフリー基本構想を策定

4月18日、広島市は「JR安芸矢口駅及びJR下深川駅周辺地区バリアフリー基本構想」を発表しました。詳しくは

http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1491545447535/index.html
(広島市Webサイト JR安芸矢口駅及びJR下深川駅周辺地区バリアフリー基本構想)をご覧ください。

改正バリアフリー法によって、バリアフリー化を求められる駅の基準が、利用者数5000人/日から、3000人/日となり、芸備線では下深川・安芸矢口・戸坂の3駅が対象となりました。法の求める平成32年度末までのバリアフリー化を目指し、広島市が昨年秋から地域住民の声も聞きながら「バリアフリー基本構想」を策定を進めていました。

安芸矢口駅と周辺では以下の事業が「特定事業」として平成32年度までの整備を目標に進められます。

(安芸矢口駅)
・構内通路の段差解消 (駅舎入り口の2段の段差部分だと思われます)
・改札口からホームへの昇降設備(エレベーター)の設置
(地域の一部が提案していた「はね橋型通路」や、構内踏切案、対向式ホーム案は採用されませんでした)
・障害者対応トイレ(多機能トイレ)の設置
・音声・音響案内装置の設置
・券売機の改良
・バリアフリー対応に関する社員教育・訓練及び実践

(バス 矢口バス停・矢口駅前バス停)
・ 低床車両の導入
・ バリアフリー対応に関する社員教育・訓練及び実践

(周辺道路設備)
・ 生活関連経路上の視覚障害者誘導用ブロックの設置
・ 生活関連経路上の歩道の新設や改良

(周辺道路管理)
・ 生活関連経路上のバリアフリー化に資する信号機の改良・高度化(音響装置の設置)
・ 生活関連経路上の違法駐車行為の取締り及び防止のための広報活動・啓発活動等の
実施

また、以下の事業が「その他の事業」として計画に盛り込まれました。

・生活関連経路に準ずる経路のバリアフリー化
・交通結節機能の強化(JRとバス等との乗継環境の向上)
・放置自転車、不法看板に対する指導・撤去

また、下深川駅についても駅舎~ホーム間及び自由通路へのエレベーター設置などが計画されました。

計画により、誰にでも使いやすい駅が実現し、自家用車無しでも暮らしていける町、より利便性が高い町となりますよう願っております。広島市およびJR西日本他関連事業者のご協力で、目標年度までにスムースに事業が進んでいくよう、地域としても協力していかなければなりません。


安芸矢口企画としては、「一般利用者の利便性も向上するバリアフリー」「乳幼児連れも一種の交通弱者と捉えたバリアフリー」を念頭に、タウンミーティング、タウンウォッチング、意見募集に参画して参りました。

利便性の大きな向上を狙った対向式ホーム案は採用されませんでしたが、強い問題意識を持って臨んだ安芸矢口駅~ウォンツ間の歩道改良は特定事業に、JRとバスの結節強化はその他事業に盛り込むことが出来ました。また、JA口田支所・口田集会所・口田小学校といった県道37号線旧道沿いの施設を生活関連施設に位置づけていただき、口田小学校以北の旧道が「生活関連経路に準ずる経路」となりました。

これにより、バリアフリーのメインターゲットである高齢者・身体障がい者の生活が改善するだけではなく、駅を中心とした町作りとして以下のような余得が期待されます。

・安芸矢口駅周辺の大型店舗、医療機関は概ね「生活経路」または「準ずる経路」で結ばれ、特定事業またはその他の事業でバリアフリー化が行われ、地域内での移動が楽になります。
・公共交通網形成計画でも「乗り換え拠点」となっている安芸矢口駅について、バリアフリー計画でも結節強化がうたわれることで、具体的な改良施策の実施が期待されます。
・小学校に至る旧道が「準ずる経路」に位置づけられることにより、バリアフリー化によって児童の通学路がより安全になることが期待されます。

さらに、意見募集で補足しておいた、口田郵便局周辺の改良済みの歩道に雨水が溜まる件についても「今後、改良工事を実施し対応する予定です」との回答をいただきました。

※為念 パブコメの「廃車を設置して雨風よけに」というのは、当方の意見・提案ではありません

2016/12/18 安芸矢口駅・下深川駅バリアフリー化ワークショップ

DSC_2311(ワークショップの様子。班別に討議した内容の報告)

DSC_2310 (地図上に貼られた付箋) (いずれも倉掛公民館にて 撮影:王舞)

2016年12月18日、高陽ニュータウンのC団地にある倉掛公民館で、安芸矢口駅と下深川駅のバリアフリー基本構想作りに関わるワークショップが行われました。王舞が参加してきましたので、様子をご紹介します。

  参加は事前応募制となっており、両駅とも20名の募集、人数オーバーの場合は抽選となっていました。当日は参加者・介助者合わせて二駅分合計で28名と、申し込んだ人は全員参加できたようです。一般参加者には、障害を持つ人、高齢者、元市議、社協関係者、学校関係者など、男女老若多様な人が集まりました。主催側は市の公共交通担当部署から5~6人、JR西日本から1名の参加です。

 まず市からバリアフリー法やバリアフリー化基本構想に関する説明が行われた後、安芸矢口は2班、下深川は3班に分かれて、駅構内と地域の主要施設・動線・現存するバリアなどの把握が行われました。 駅については構内配置図と写真、地域については駅を中心とした半径500mの円を描いた地図を用いて検討が進められました。参加者の考える主要施設を黄色い付箋、バリアをオレンジの付箋で地図上に貼り付けて、視覚的に地域を把握する手法です。

 王舞が参加した安芸矢口2班では、山下医院、平野内科医院などの医療機関、フレスタおかず工房矢口店、ウォンツ矢口店などの商業施設、口田郵便局、JA広島市口田支所などの金融機関、口田小学校、口田集会所、教蓮寺・はすがおかプティエコールなどの公的施設、矢口・口田・矢口駅前の各バス停などが主要施設としてピックアップされました。この結果ウォンツ矢口店~山下医院、安芸矢口駅~矢口三叉路、矢口バス停~矢口南三叉路~口田小学校などがバリアフリー化される主要経路(候補)とされ、後日のタウンウォッチングの対象とされました。

 駅構内のバリアは、駅入り口の段差、跨線橋、ホームの狭さなどが取り上げられました。地域内のバリアとしては駅から安佐大橋方面に続く歩道が狭小かつ段差が多いこと、フレスタ~矢口三叉路間の歩道が狭いこと、駅とバス停との距離が長く乗り換えに適さないことなどが上がりました。 班別の討議が終わり、市職員が各班ごとの討議内容を全体に報告・共有して、第1回のワークショップは終了しました。

 ワークショップでの議論を踏まえて、後日のタウンウォッチングの経路が計画されました。

安芸矢口駅、2020年までにバリアフリー化か

2011年3月に「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」に基づく「移動等円滑化の促進に関する基本方針」(バリアフリー基本方針)が改正され、バリアフリー化の対象が1日平均利用者数(乗降数)が5,000人以上の駅から3,000人以上の駅に拡大されました。

広島市内の芸備線では、下深川・安芸矢口・戸坂の3駅がバリアフリーの対象となりましたが、山陽本線や可部線の駅のバリアフリー化が先行して進められ、芸備線での取り組みは遅れていました。しかし、2015年10月20日に行われた広島市議会平成26年度決算特別委員会で、山内市議(社民党)の質問に対して、平野交通施設整備担当課長から以下の答弁がありました。

「芸備線の安芸矢口駅につきましては,1日当たりの平均利用者数が,平成25年度で約4,000人と比較的多く,地元からもバリアフリー化の要望があることから,JR西日本に対しバリアフリー化を働きかけております。安芸矢口駅は現状のホーム幅が狭く,バリアフリー化に当たってはホームの拡幅に伴い線路の配線を変更するなど多額の事業費を要することが想定されることから,交通バリアフリー基本構想を作成し,国と連携し,JR西日本に対し支援を行っていく必要があると考えております。現在,安芸矢口駅のバリアフリー化の整備時期について,JR西日本と協議調整を行っているところであり,基本方針の整備目標年度である平成32年度末までに駅のバリアフリー化が図られるよう基本構想を作成していきたいと考えております。」(議事録から、着色は安芸矢口企画)

これを受けて、2016年から安芸矢口駅・下深川駅のバリアフリー化に向けた具体的な動きが始まりました。11月に、バリアフリー基本構想作りのためのワークショップとタウンウォッチング開催が発表され、参加者の募集がありました。これらは、行政からの視点だけではなく、地域住民の視点を入れて、駅に存在するバリア、駅からアクセスされる地域の施設・店舗等とその動線、想定される動線に存在するバリアを把握しようとするものです。

2016年12月18日には第1回のワークショップ、2017年1月21日にはタウンウォッチングが開催されました。安芸矢口企画の王舞がこれに参加しましたので、リンク先をご覧下さい。

鉄道を利用する時は、当然発駅があって、着駅があるわけで、このどちらか片方だけ(主要駅のみ等)がバリアフリー化されても意味はありません。安芸矢口駅について、市が「ホームの拡幅に伴い線路の配線を変更するなど多額の事業費を要する」にも関わらずバリアフリー化を進められることに大きな喜びを感じざるを得ません。安芸矢口企画としても、地域団体としてこのバリアフリー化がより良くなるよう、知恵を出して行きたいと思います。